東海大学、静岡県立大学の客員教授である長尾年恭先生によると、2030年代半ばまでの10年間は日本全体の活動期が続くと見られており、今年2024年、東京でも震度6、房総半島でも6強の地震の可能性があるとも言われています。
中でも南海トラフ地震が2030年代半ばまでに起こると言われており、それまでは日本列島全体が活動期となり、地震が活発になってくるそうです。
(2024/4/20放送 日本テレビ「ニッポンこれさえランキング!」参考)
知っているようで知らない南海トラフ地震と、これから家を建てる際に何に気をつければいいのか、詳しく見ていきましょう。
<関連記事>
耐震構造だけで充分か。能登半島地震から見た免震構造をプラスする重要性。
能登半島地震で被災しても倒壊を免れた。制震ダンパー「evoltz」の実力×耐震等級3の実例。
南海トラフ地震とは。
静岡県の駿河湾から九州の日向灘にかけての海底に「南海トラフ」と呼ばれる海溝があり、このプレートのひずみが溜まって耐えきれなくなった時に起こるのが「南海トラフ地震」です。
一番最近では1946年にマグニチュード8.0の「昭和南海地震」が起きており、100年から150年ほどの間隔でマグニチュード8クラスの巨大地震が繰り返し発生しています。
政府の地震調査委員会では、マグニチュード8から9の巨大地震が今後30年以内に「70%から80%」の確率で発生すると予測しており、被害が広域に及び、東日本大震災を大きく上回ると想定されています。
四国や近畿、九州だけではなく、東京、神奈川、千葉などの関東でも死者数が出ると予測されており、甚大な被害が出るとされています。
南海トラフの規模は非常に大きく、複数のプレート境界が関与するため、巨大な地震が発生すると大規模な津波も発生する可能性があります。
沿岸部には最大で30メートルを超える巨大津波が押し寄せるとされており、最悪の場合、関東から九州にかけての30の都府県で合わせておよそ32万3,000人が死亡し、揺れや火災、津波などで238万棟余りの建物が全壊したり焼失したりすると推計されています。
しかしながら、多くの人が早めに避難した場合、津波の犠牲者は最大でおよそ80%少なくなり、建物の耐震化率を引き上げれば、建物の倒壊はおよそ40%減らせるという推計もあり、日頃の心構えや備えにより、この最悪な数字は減らすことができると考えられています。
<参考サイト>
南海トラフ巨大地震 被害想定 死者32万人超(NHK災害列島)
いざという時に落ち着いて行動ができるように、日頃からの心構えや備えを改めたいですね。
自宅避難のための耐震対策が必要。
地震や津波で家を失ったら、仮設住宅で暮らすことを選択肢に入れますが、南海トラフ地震のような巨大な地震が起きた場合、ほとんどの人が仮設住宅には入れないといいます。
普通の災害よりも圧倒的に家屋が倒壊して行き場を失う人が増え、災害の規模が大きければ道が寸断されて思うように資材を運ぶこともできません。
東日本大震災で全壊した住宅はおよそ12万棟ですが、南海トラフ巨大地震では最悪の場合239万棟が全壊すると想定されており、あの東日本大震災の20倍もの数が予想されています。
専修大学の佐藤慶一先生の試算によると、全国で131万3900戸が不足し、300万人もの人が行き場をなくす計算になります。
そうなれば、住み慣れた土地を離れて疎開することを考える必要も出てくるかもしれません。
そこで大事になってくるのは、やはり住まいの耐震対策です。
耐震化して倒壊を防ぐことができれば、家を失わずに自宅避難が可能になります。
耐震等級3は家の頑強さを表す耐震の最高等級です。
下記の記事も参考にしてみてください。
<関連記事>
最高等級・耐震等級3の性能。地震に強いハウスメーカを比較検証【鉄骨造編】
最高等級・耐震等級3の性能。地震に強いハウスメーカを比較検証【木造編】
能登半島地震では耐震化した建物でも、建物内で天井が落下するなどの被害が報告されています。
制震技術で建物自体の揺れを抑えることができますので、家づくりの際はこちらも検討してみましょう。
<関連記事>
木造住宅でも大丈夫。独自の制振装置で住まいを守るクレバリーホームの耐震技術。
ローコストだけではない。耐震+制震で地震に強いアエラホーム。
耐震+制震で地震に強い。大空間が魅力の邸宅。ダイワハウスのxevoΣ(ジーヴォシグマ)
海や川の近くでは津波による被害も想定しなければなりません。
津波や洪水から家を守ることは難しいように感じられますが、水害対策に強いハウスメーカーもあります。
たとえば一条工務店は世界初の耐水害住宅として実大実験を行っており、津波の時にも心強いかもしれません。
また、二次災害による火事にも備える必要があります。
耐火性ある外壁など、家づくりの際にしっかりとチェックしましょう。
<関連記事>
制震技術で耐震性に優れ、耐火性、耐水性の三方位から災害に強いへーベルハウス。
避難所で慣れない避難生活することを考えても、災害対策をしっかりと行って備えて、自宅で家族水入らずで過ごせるほうがいいですよね。
海が近くて津波が心配な地域ではすぐに避難する必要がありますが、安全に行動するためにも耐震化は大事です。
自治体などで補助金が出ているところもありますので、上手に使って万が一に備えましょう。
<参考サイト>
「仮設住宅」に入れない? 巨大地震で家を失ったら…(NHK 災害列島)
ハウスメーカー独自の地震のアフターサポート
万が一、被災して地震などで住まいが倒壊してしまった場合、住まいの再建に向けた公的支援制度を受けることができます。
しかしながら、自治体の窓口に「罹災証明書」の申請手続きを行う必要があり、そのためには詳細の写真を撮ったり、状態を細かく書類に記入する必要があります。
必要な作業とはいえ、被災して心身ともに疲れ切っている中、手続きの対応に追われるのは非常に大変です。
そのような時でも精神的なサポートになる、ハウスメーカーの災害時のサポート体制についてご紹介します。
<参考サイト>
住まいの再建に向けて 「り災証明書」・公的支援制度(NHK防災)
■パナソニックホームズ
・復旧支援活動
災害が発生したら速やかに災害対策本部が設置され、被災したオーナーの被災情報を確認し、復旧支援活動をしています。
・復旧の負担を軽くする「あんしん倶楽部」
有料会員になると、補修工事のサポートやお見舞金が送られます。
・地震あんしん保証
地震による建て替えや補修を最長35年間保証してくれます。
一般的な地震保険では半額分までしか保障されないため、足りない分に充てることができます。
保険のような掛金は一切かからず、保証限度額は5000万円まで。さらにパナソニックホームズが建て替えや補修により原状復帰してくれます。
■積水ハウス
・カスターマーセンター
専任スタッフが24時間365日、住まいの補修やリフォームについてなどの相談を受け付けています。
■住友不動産
・カスターマーセンター
365日24時間体制のお客様専用窓口があります。
そのような時に、ひとつでも相談できる窓口があるとだいぶ心の支えになります。
有事の時のサポート体制も、ハウスメーカー選びの時の検討材料にしたいですね。