家を建てたいと思いたつ理由は、人それぞれ。
昨今、働き方改革でも言われてますが、「100人いたら100通りある」は、家づくりにも同じ事が言えると思いました。
日本は地震の多い国、また、温暖化の影響や、様々な環境変化により、地球規模で災害のニュースを耳にすることも多くなりました。
今回は、『防災力』にフォーカスして大和ハウス工業・パナソニックホームズ・ミサワホームの3社に、各社独自の戦略、取り組みについてご紹介をいたします。
<関連記事>
耐震構造だけで充分か。能登半島地震から見た免震構造をプラスする重要性。
強い耐震性と地盤づくり。地震に強いタクトホームの分譲住宅「グラファーレ」。
鉄骨造住宅並みの耐震性と性能の木造住宅。積水ハウスの「シャーウッド」を検証。
住友不動産の地震に対応した力度強い工法。耐震性について検証。
耐震構造、制震構造、免震構造の違いは?
【耐震】
地震に耐える。
揺れに耐えられるように、建物の壁に筋交いを入れるなどを耐震工法と呼びます。
【制震】
地震の揺れを吸収する。
建物内部に重りやダンパーなどの制震材を組み込み、地震の揺れを吸収して建物の倒壊を防いで揺れを吸収する工法を制震工法と呼びます。
・補足知識
「制震(せいしん)は、建築設計上の概念であり、建物に入力される地震力を、建物内部の機構により減衰させたり増幅を防いだりすることで、建物の振動を低減させることを指す。」引用 ウィキペディア
【免震】
地震の揺れを建物に伝えにくくする。
建物の土台と地盤の間に免震装置を設置することで、建物の倒壊を防ぐ目的はもちろんのこと、建物内部のダメージも防ぐことができる工法を免震工法と呼びます。
・補足知識
「免震(めんしん)は、構造設計の概念であり、一般的に建物の固有周期を伸ばし、建物が受ける地震力を抑制することによって構造物の破壊を防止することを意味する。目的は同じだが類似の用語の制震や耐震とは区別される。」 引用 ウィキペディア
耐震 | 制震 | 免震 |
地震の揺れに耐える | 地震の揺れを吸収する | 地震の揺れを受け流す |
耐震工法は、現在の大半の住宅で採用されています。地震に対しては「建築物が倒壊せず、住人が避難できること」を前提に建物の強度で、揺れに耐える構造です。 | 建物内部にオモリやダンパーなどの「制震部材」を組み込み、地震の揺れを吸収する構造です。(上階ほど揺れが増幅する高層ビルなどの高い建物には、非常に有効な技術です。) | 建物と基礎との間に免震装置を設置し、地盤と切り離すことで建物に地震の揺れを直接伝えない構造です。 |
建物のゆれは1F⇒2Fと、上に行くほど大きくなる。 | 耐震構造に比べ、上階ほど揺れが抑えられるが、地表面よりは小さくならない。 | 地表面の揺れが直接伝わらないため、建物は地面より小さな揺れとなる。 |
耐震構造、制震構造、免震構造 それぞれのメリットとデメリットを比較
耐震 | 制震 | 免震 | |||||||||||||
メ リ ッ ト | 現状、日本で最も取り入れられている工法である 3つの工法の中では最もコストが安い 現在の建築基準法に則って建てれば追加費用なしで耐震工法の住宅を建てることできる 激しい地震でも建物を倒壊から守ることができる 地下室などの設置も可能 | 建物の倒壊をほとんど防ぐことができる 耐震工法よりも建物内部の損傷を小さくすることができる 免震工法よりもコストが安く、工期が短い 繰り返しの揺れに強い 地震後のメンテナンスがほとんど不要 | 地震がきても建物がほとんど揺れない 地震対策においては最も優れた工法である 建物内部の損傷を防ぐことができる 家具の転倒などによる二次被害を防ぐことができる |
耐震 | 制震 | 免震 | |||||||||||||
デ メ リ ッ ト | 地震の揺れがダイレクトに伝わるため、揺れが激しい 建物の上部ほど激しく揺れる 建物内部にある家具などの損傷は免れない 家具の転倒などによる二次被害のリスクがある 建物は頑丈だが、繰り返しの揺れや何度も地震が起きた際には倒壊の可能性も増す 大きな震災があった後はメンテナンス費用にコストがかかる | 建物自体は地面にくっついているため、地盤が弱いと導入できない 免震工法よりも制約は少ないとはいえ、制震装置の設置の関係上、狭小地には不向きである 耐震住宅よりもコストは高くなる 耐震工法よりも建物内部のダメージは少ないが免震工法よりはダメージがあるため、家具を固定する金具をつけるなどの工夫はした方が良い 建物内部にいた場合、地震の揺れは直接感じる | 定期的なメンテナンスが必要となる 免震装置の交換の際もコストが高い 緩やかではあるが多少の揺れを感じる場合がある 地面の上に免震装置を設置するので地下室を作ることができない |
また、耐震+制震、耐震+免震などそれぞれの良さをうまく組み合わせると、バランスが良くなり、より地震に強い安心できる家になります。予算や地域特性(ハザードマップなど)に合わせて、マイホームを防災・減災できる家づくりを目指しましょう。
構造の次に知りたい、マイホームの防災・減災の戦略は?
災害時は、あれやこれやと大変で喉元過ぎない、数カ月~1、2年の間は備蓄など意識して備えているものの、喉元過ぎれば熱さを忘れるとはよく言ったものですが、すっかり備蓄の入れ替えも怠っている筆者です。
災害は忘れたころにやってくるという言葉もありますので、防災意識を高めて備蓄をチェックしつつ、マイホームに求める防災&減災を見ていきたいと思います。
今年に入り、コロナウィルスと背中合わせの生活を強いられて、すっかり日常のあたりまえが変わりましたね。
新しい日常において、今から建てるマイホーム計画には、災害時でも普段通りに生活できる防災・減災を考えた家づくりを取り入れたいですね。
【ハウスメーカーにおける防災戦略】
『大和ハウス工業』
「大和ハウスは、防災配慮住宅「災害に備える家」をこの4月に発売しました。この商品の特長は「一次災害」だけでなく、「二次災害」に備えた防災配慮住宅であることです。その備えとして、雨天でも約10日間の停電に対応できる電力供給および暖房・給湯を確保できる「全天候型3電池連携システム」を搭載している点が特徴です。」
10日間の停電に対応できるということは、マイホームで生活できますね!シニア、小さなお子さんがいるご家族は自宅で待機できることは、コロナウィルスのような感染症流行の時期などは特に助かりますよね。
『パナソニックホームズ』
「4人家族で約3日分の飲料水を確保できる貯水タンク「マルチアクア」を設置しています。このタンクには水道管を分岐して設置するため、常に新鮮な水が入っており、空気に触れない二重構造により飲料水として使える水質を確保しています。このマルチアクアは1本で容量120リットル。1日1人当たり飲料水として3リットル、トイレ用水として7リットルを想定しています。」
断水したとき、20Lのタンクを運ぶのはきつかったです(泣)命の水、災害時、水をどのようにご家族分を準備しておくか、確保するかとても大切ですね。
『ミサワホーム』
「「MISAWA-LCP」は住宅を建てる前の計画段階からスタートする住まいのソリューションです。あらかじめ、政府や研究機関などから公開されている地盤情報を利用し、建設予定地周辺で起こりうる自然災害リスクをまとめた「ハザードカルテ」や、建物プランから事前に耐震シミュレーションができる「M-Labo」を活用したリスクコミュニケーションを実施します。これらの結果を踏まえ、躯体性能やプランニング、仕様においても安心を提供できる基準を設定しました。プランニング基準としては、14日分の飲食料・日用品を収納できる「備蓄スペース」や、近隣と日常的に「コミュニケーション」がとりやすい地域に開いたプランなどを設定しています。」
マイホームを建てる場所を調べるのはとても重要ですね、ハザードマップでどのような災害リスクがあるかを知ったうえで対策する!
耐震基準の知識あれこれ
耐震基準【等級】とは、建物がどの程度の地震に耐えられるかを示す数値が等級わけされています。耐震基準は、住宅の安全を守るために守らなくてはならない耐震強度のことで、建築基準法に定められています。
等級は全部で3段階に分かれており、等級が上がれば上がるほど耐震性能が優れていることを表します。
等級1 | 等級2 | 等級3 |
数百年に一度発生する地震(震度6強~7程度)の地震力に対して倒壊や崩壊せず、数十年に一度発生する地震(震度5強程度)では損傷しない程度の耐震性能をもっています。 | 等級1の1.25倍の地震が起きても倒壊・崩壊をしない程度の耐震性能を持っています。 | 等級1の1.5倍の地震が起きても倒壊・崩壊しない程度の耐震性能を持っています。 |
ハウスメーカーのキャッチコピー!
大和ハウス工業
“我が家の自給自足は、家にまかせることにした”
日々の暮らしはもちろんのこと、災害時はさらにありがたい電気の自給自足生活。
- 引用電気を自給自足する家
パナソニックホームズ
“ライフラインを確保して災害後の暮らしをまもる”
日本では必要なときに水がでるのが当たり前ですが、断水になると、トイレの水、歯磨き、食事、そのあとの片づけ、など、あたりまえにしていたことができなくなります。この状況をイメージしたとき“貯水タンク”あると便利だなと思いました。
ミサワホーム
“ふだん交流の場が、災害時助け合いの場になる”
家はもちろんのこと、外構までより具体的な提案が様々あります。コミュニケーションポーチを炊き出しの場にして地域に貢献するなどの提案が目に留まりました。